試論

恥さらしによる自我拡散改善法を中心に

2018-01-01から1年間の記事一覧

きみの話

愛です。 生きてさえいない 進路届。べつに将来やりたいこともないし、行きたい大学もないし……先生も、結局偏差値で選んで薦めてくる。 「ほかの学校は英語の学科で申し込んでるけど、どうして第一志望だけ日本文学専攻なの?」 え? 死亡? 「やっぱり小説…

残渣

いま見ているもののすべてが病室で見た幻覚だったらどうしよう。ここ1ヶ月にあったことすべても夢だったら? やっぱりおちんちんが好き。 夢といえば最近、なにかとの最後の戦いを勝たなければいけない夢をよくみる。そもそも夢をみない体質だったが、抽象度…

伯母の引っ越し

あれは5月下旬のことだったか。 隆平 錦糸町まで定期が利いているからSuicaで乗車するといっているのにその意味をわからない母が720円の切符を買って渡してきて、理解されなさがもどかしかった。 小一時間電車に揺られて伯母の住むアパートのある練馬区某所…

まとめ。 まえかけ夜間スタッフは社員等、定時で帰るスタッフの穴を埋めるため、夕方から閉店までの時間、4つのセクションに役割を分担して店舗の運営を補佐する。川上副店長は新しいまえかけを私に見せて、「これを同じようにつけてほしいのだけど」と言い…

そういうふうにできている

ここ一週間体調が悪かった。かかりつけの医者には行けない。去年熱が出たときに薬をのみきっても熱がさがらなかったため別の医者に変えたことがあって、どことなく気まずくて行きにくかった。 夏という作業ライブハウスの店長さんから、この夏はなにかしたか…

ソフィの動機について

タカシさんの家行って、無言でハウルの動く城見て、セックス中に脱糞して、翌朝追い出されて、家帰って昼寝して、夕方起きてバイト行って、バイト終わりに上柳に「店閉めするの待ってて」とかいわれて嫌だから帰って、お前が帰ったせいで機械が誤動作して帰…

シンデレラ

お姫様抱っこしてあげるといわれて、そういえばお姫様抱っこされるのが小さいころからの夢だったことを思いだし、寒気がした。 両方向への啓蒙 むかしは、よく父から「おまえは女に生まれるはずが間違って男に生まれてきた」とののしられた。いまになってか…

すずめは夢をみている

舞浜駅南口イクスピアリ前の喫煙所は夢と現実の境界という感じで、いつまでも眺めていられると思った。せまる終電を追って走っていく人、おそろいの服を着て歩いてゆくカップル、彼氏が煙草を吸いおわるのを待ってる彼女、その逆に彼女待つ彼氏、覚めたくな…

青梅

あした梅酒作らない? と誘われて、ほんとうに梅酒を作るために上柳の家に行った。そのまえに差し入れのピノと、自分のぶんのピノと、手を拭くためのウェットティッシュをコンビニに寄って買っておいた。 梅酒の作り方 材料 青梅 1kg ホワイトリカー 2l 氷砂…

殺して

大爆死。自分が自分であることを優先したまま愛さることなどないのよって、そのまま愛されてる人に言われるのは本当に、殺意しかない。死ね。少しの同情もない。なるべくむごく死ね馬鹿。もうすぐ梅雨がおわりそうだねえと青木さんは言った。おわるのだ。雨…

気持ち悪い

わかってる。わかってるけど、そんなのは関係ないくらいタカシさんのことを考えている。声もしぐさも趣味も最高なのだ。タカシさんとしてからアナルの形が変わった。話は合わないけど人間と話が合ったことなんて小学生のときで最後なので全然気にしない。そ…

逆流する

ねぼけまなこのところをむりやり犯された。本当の意味で寝バックだと思った。意識が鮮明になるにつれ、昨日も言ったと思いますけれども準備してないからそこうんこだらけですよと胸中でなんどもひとりごちたが、作業は清潔さ度外視で進んでいった。部屋も身…

ρυθμоς

5月中旬に一週間ほど家から出ずにTWICEとRed VelvetのMVや音楽番組に出演したときの映像をYouTubeで再生しつづけたあと、なにかを考える時間を減らさないと死んでしまう気がして、バイトをはじめた。スーパーの品出しのバイト。 特にやりがいはないがつまら…

ぺろみ

ついきのうのはなし 「あ、このあとブロックされるな」と予感した私はすぐに相手の体の写真をスクリーンショットして保存した。なんとかしてその男の存在を私の世界に残そうとしたのだが、それになんの意味があったかわからなくなったのでここに載せる。 最…

うつわ

実秋は鏡を見ることを厭う子供だった。小学校の自画像の授業のとき時間がかかりすぎて、教師からよく叱られた。他の人の顔を描きたいと思った。 鏡を見るのは一日一回、外に出るまえだけと決まっている。あとは顔を見るためだけに鏡は見ないことにしている。…

履歴書

朝、家を出るまえに母からきょうもできあいのもので済ませるようにと言われていたので、買ってきた。母はこのところ体調を崩していたのだが、やっとだんだんよくなってきている。 その日いっしょに散歩した小平さんは、景気のいいおじさんだった。ことある…

くつした③

これまですこしも気にしてこなかったが、脱ぎすてた状態の靴下のようになった僕に擦りあわせるようにして無理矢理果てた修一さんを真顔でながめているとき、これはさすがにまずいと思った。 数十分におよんではやくはやくとせかされた。仕事おわりなので疲れ…

くつした②

「ぼくは100%の日本人ではないですよ」と、韓国語訛りの日本語でいわれた。母音が激しくなまっているのですぐにわかりますよ、というのは失礼だと思ったので、あまりなにもいわないことにした。 すこし知っている韓国語で話しかけてみたが、すべて日本語で返…

くつした①

中学生のときに履いていた白い靴下をたんすのなかからひっぱりだす。修一さんは靴下に性的興奮を覚えるという。 はじめ、そのとき履いていた靴下の写真をとって送ったら「ちがう、そういうのではない」といわれた。ではどういうのがいいのかとたずねると、紺…

むきふむき

西田くんとは、ボランティア団体の初回の集まりではじめて会った。そのとき彼は僕のひとつしたの一年生だった。ガジェットに強くて、機械のことは彼にきけばだいたい解決するような、頼れる人だった。 サークルにも入っていなかった私は、学生の集団にまじる…

听得懂听不懂

単位のために中国語をとっている。 語学は好きだ。いろんな言語を学んでやろうと当然のように考えていたが、実際には必修の科目と開講時限が重なり、必修以外の外国語をとるのは物理的に不可能なのだった。残った選択肢は中国語しかなかった。 語学のクラス…

地獄

楽しいことがあったって、恋をしてたって、死にたいときは死にたいよ。俺なんてこのあいだも、ドアノブに長いタオルをかけて、U字型にしてそこに首をかけた。もういいかなって思って。でもドアが、ノブじゃなくてこう、したにがちゃんてなるやつだったから、…

蕎麦

すべてに色がある。 図画工作の時間に、絵を提出するのだが、色の塗られていないところがあるとリジェクトされた。「この世に色のないものはない」と先生によく叱られた。 たしかに。 母が具合が悪いからといって、看護をするのではなく、なるべくひとりにし…

真保くん

真保(しんぼ)くんと深原(ふかはら)くんが転校してきたのは小4か小5のころだった。 このふたりは、思春期の萌芽をまえにして静まりかえっていた火薬庫に撃ちこまれた銃弾であった。とくに真保くんは私ひとりの人間形成に少なからずひずみを与えるほどの熱い一…

人生

4,5歳のころ、母親は急に思いだしたように病院に行くといって僕の手をにぎった。どこも体は悪くないのになと思った。着いた場所は、記憶が正しければ皮膚科と泌尿器科が一緒になっているところで、性器周辺の皮膚に異常がある場合などに人々がやってくる病院…

床屋

近所にある理容店は、40年ほど前、若かった父がこの地に越してくるよりまえから、髪を切り続けている。うえの兄もまんなかの兄も僕もそこで世話になっている。 ながいあいだ老主人ひとりできりもりしていたようだが、あるとき、ほかの理容チェーン店で修行し…

クソプ

図書館で何冊も貸出し機やるのめんどくさいからカウンターでやってもらおーとか思ってお願いしたら「自動貸出し機使ったことないですか」って言われて(貸出し機がカウンターの隣にある)内心なんのためのカウンターなんだろうと責める気持ちはなく自然と思っ…

迎合する

最近会った人と話をしたとき、ものをよく知っている人で、私の提示した話題を広げたり転換したり収束させたり、コミュニケーションの難しい部分はなにもかんがえなくてもいいように会話をコントロールしてもらえて、すごく心地よかったことがあった。そうい…

メールを送る

バイトの採用担当者からの電話にでられず、留守番電話メッセージが入っていた。 「ご案内事項がございます。ご都合よろしければ折り返しお電話ください」 とのことであったが、それとほぼ同時にメールも送られてきていて、そこには今回の募集は応募多数のた…

前立腺④

施術が済んだということで父に会いに行くと、別の部屋に収容されていた。痩せ細った体に薄い毛布が丁寧にかけられ、腕や脚のかたちが浮き上がって見え、まるで安置されているようだった。 しばらく「体が動かない」とか麻酔の実況をしていたが、また寝たり、…