試論

恥さらしによる自我拡散改善法を中心に

光の実在

はたらきに行くまえのたべものをじぶんで調理するようにしていた。作るほうが必ずしも倹約になるとはかぎらないが、台所に立つのは一種精神安定のための儀式だった。 ただ運気が下がってくると体も動かない。台所に立っているばあいではない。しかしいまのと…

文身

かねて聞いていた身体的変化が出始めたのを契機にもう、父親とは銭湯に行かないことにした。わたしはそのころから毎日、なにかを誤っているような気がしているし、大抵みんなそう。 諸尊 稲妻 切創 諸尊 浴場のタイルに足を踏み入れるとまず、右奥の薬湯に一…

yes

Where are you. 南口のyes mart. 改札を出たら直角に曲がり、肯定的な名前のスーパーへとむかう。雨がちの日々の晴れ間には無邪気に確信が持てた。正しさなど天気程度で移ろう主観に過ぎないことがよくわかる。Y'sのアポストロフィがeの省略である可能性。 y…

海水の金魚

予め、無用な夢をみないようみないようにと清く心がけました。とても寂しかったのを耐え、生きました。おわりにしようかと思うくらい寂しかったのです。 誕生日を迎えたとたん春はおもむろに終わりはじめた。 自動車は、交差点の中心で意に反し停まる。慣性…

贋具

でもね産みの痛みは出れば終わるものだから、そうでもないのよ、それより痛い病気はたくさんあるよ。わたしの母は客観的な視点を持っていて、現象を不用意に美化しない。だから私も、自分が尊くなり得る方向に素描の線を曲げたりなどしないようにものごとを…

あんにんどう腐

一週間で死ぬの嘘なんですって。そうなんだ、どうりでおかしいと思ってたんだよね。人間が勝手に決めてるんですってなのかで終わりって。

偽善永、偽善美、

春、一年五組の教室。窓際の席ですべての休み時間を袖に顔をうずめたまま過ごしていた。自分のことが嫌いだったし、みんなも私のことが嫌いだった。だれとも友達になれそうもなかったし、だれともならなくてよかった。

あなたは生きている

言葉はどれほど正しい表現を用いても理解されないことがある。それならばと強い言葉で叩けば野蛮で愚かだ。人々は耳をふさぐのでなお理解されない。透明な矢の根は予期されうるどこにも傷をつくることなく、健常者たちの冷笑のなかをみじめに突き抜けてゆく…

高2のとき保健の授業で性について教わった。みんなすました顔で男性器とか射精とか包皮とかノートをとっていた。馬鹿が。 精子 その日は性反応のメカニズムについてだった。体育教師は近年日本で問題になってきていることとして男性のメス化が進んでいること…